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老人と犬

老人と犬

人気ランキング : 68,303位
定価 : ¥ 650
販売元 : 扶桑社
発売日 : 1999-06

価格 商品名
¥ 650 老人と犬
孤独の中で

ケッチャムの作品の大ファンだが、とりわけこの作品は一番好きだ。犬は導入部分であっけなく死んでしまうが、存在感がある。孤独な老人と老犬が寄り添うように生きてきたさまが胸に湧き上がってくる。その相棒を理不尽に殺された哀しみを、鳴いたり喚いたり騒いだりしないところに彼の深い孤独を感じる。
ラドロウの心のうちを冷めた目線で淡々と描くその筆力たるやすさまじいものがある。ラドロウの息子の過去と、犬を殺した少年とが重なり、彼を苦しめる。
「ある国の偉大さとその道徳的な発達の程度は動物の扱いによって計れる」とガンジーの言葉が引用されているが、まったくその通りだと思う。孤独な復讐は悲惨な結末を迎えるが、それでもラドロウは生きる。人物描写の細かさ、ぐいぐいと読者を引き込む筆力に圧倒された。

何ともいえぬ哀愁と徒労感が漂う

 「やられたらやり返す」というアメリカ人のスピリットを体現した小説。マイケル・ムーアがいくら力説しようと、これがアメリカの銃社会なのだと思わせる。ただ、それほど残酷描写やショッキングな場面はないので、バイオレンスが苦手な人でも楽しめそう。
 理由なき銃撃により愛犬を殺された主人公の復習劇は、戦争経験があるとはいえちょっと甘く、現実離れしているような気もするが、型通りのエンタテイメント小説に見られる勧善懲悪の爽快感には乏しい。読了後に何ともいえぬ哀愁と徒労感が漂うのも、少年の犯罪が単なる絵空事でない世の中の現実を思い起こさせるからかもしれない。

違った味

もしあなたが少年たちに「金を出せ」と言われ、はした金しか持っていないという理由で、愛犬を殺されたら? 主人公の老人は、ごく普通の正義を求め、少年たちの親にかけあいます。正義とは、父親に少年の尻をひっぱたかせ、謝らせ、警察に出頭させることでした。法の裁きを受けさせることは可能か? 老人は、友人の弁護士、検事に相談しますが・・・。「オフ・シーズン」では、とことん凄惨な場面を描き、結末も救いなきものにしたジャック・ケッチャムですが、今回は最後まで理性を捨てず、なおかつ、いわれなき犯行に対しては、きっちり落とし前をつけさせるタフな老人を描いています。登場人物も、正義と悪とをはっきり区別せず、気が弱く、犯行には加担したが老人に対してはすまないと思っている主!犯少年の弟、夫の暴力に堪え、結局は最大の被害者となる母親、手の不自由なメイドなど、それぞれが重要な役割をはたしています。そして大団円も、ジャック・ケッチャムものとしては異色の作品と言えますが、違った味が楽しめました。

アメリカ人ってのはつくづくマッチョだよね

 動物愛護暴力小説なのだそうです。ナチュラルなアメリカン・カントリー・ライフも楽じゃないこのご時世。あくまでオールド・タイムの主人公が正義へと続く道を模索する。肉体的にいたぶられ、法的にも付け入る隙を見つけだせず、警察も頼りにならない。必然的に行動を起こす主人公の生き方は、年取ってるけどやっぱりマッチョな生き方を選択する単純明快なアメリカ人なんですよね。銃には銃を。だけど、気が付くんですよ。「ワシが求めているのは正義じゃない」って。個人の受けた痛みは個人に返すべし。アメリカ建国から綿々と伝わるメンタリティがここにはあるのだな。
 孤独を愛する作家が孤独を選択した老人を主人公に据えたとき、必然的に敵はヤングジェネレーションちゅーことになりますなぁ。旧世代vs浸食する新人類たち。激変するモラルに耐性が追いつかない世代の読者には明確に肩入れする先が存在するのだが、新人類たちはこの小説を読んでどう思うのでしょうか(~_~;)。こんなことぐらいで暴発するジジイなんて信じられないゃって感じか。酸鼻を極める描写がないケッチャムって結構緩い作家って感じで読んでましたけど、最後に暴力が解き放たれる寸前の主人公が取る行為に、ケッチャムのオリジナリティの片鱗を垣間見ました(~_~;)。ここまでしなくちゃならないのか。「イエス」ケッチャムならそう簡単に答えるだろうねえ。
 ホラー作家にしては、いささか弱いと感じたのは、ラストの甘さなのです。この本自体の薄さに比例して薄味であることは否めない捻りの無さ。ここら辺が足を引っ張って佳作止まりにしてしまっているのだな。ただ幼児虐待陰湿路線を脱却しつつあるケッチャムのメタモルフォーゼの一過程と考えれば、進化しつつある作品群を読んで確かめなくてはなりません。どう変わって行くのか。マキャモンがそうであったように、ホラーの衣を脱ぎ捨てたとき、一皮剥けたメジャーな作家としての新たな顔を見せてくれるのだろうか。

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